No.37新着 レースの賞金はだれに、どう分けられるのか 5着までの本賞金、全頭への手当、調教師・騎手・厩務員の取り分
JRA の賞金は5着までの「本賞金」が中心で、2着以下は1着の40%・25%・15%・10%が目安。2026年の日本ダービーは1着3億円、これから行われるジャパンカップと有馬記念は競馬番組で1着5億円と決まっている。馬主はここから調教師・騎手・厩務員に「進上金」を払い、預託料(1頭1か月70万円程度)も負担する。
本文と出典
【本賞金:5着までに出る賞金】
JRA のレースで「賞金」と呼ばれるのは、1着から5着までの馬の持ち主(馬主)に払われる「本賞」です。2着から5着の額は、1着の額を100%として、40%・25%・15%・10%と決まっています。1着の額はレースの格や馬の年齢で違い、競馬番組(開催ごとのレースの予定表)に書かれています。
2026年の大きなレースの1着から5着までの本賞金は、次のとおりです(ジャパンカップと有馬記念は10月20日の時点でまだ行われておらず、競馬番組に出ている額です)。
・日本ダービー(5月31日・東京):3億円、1億2,000万円、7,500万円、4,500万円、3,000万円。勝ったのはロブチェンでした。
・ジャパンカップ(11月29日・東京):5億円、2億円、1億3,000万円、7,500万円、5,000万円。
・有馬記念(12月27日・中山):ジャパンカップと同じ額です。
日本ダービーは割合のとおりですが、ジャパンカップと有馬記念の3着は1億3,000万円で、1着の26%にあたります(くらさんの計算)。最も高いレースでは、割合の目安から少し上乗せされています。
(出典:JRA「賞金のしくみ」 https://www.jra.go.jp/owner/members/prize/ 、JRA 2026年第5回東京競馬番組 https://www.jra.go.jp/keiba/program/2026/pdf/bangumi/tokyo5.pdf 、JRA 2026年第5回中山競馬番組 https://www.jra.go.jp/keiba/program/2026/pdf/bangumi/nakayama5.pdf 、JRA 日本ダービー2026 レース結果 https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html?CNAME=pw01sde0105202602121120260531%2F55 )
【付加賞:出走を申し込んだ馬主が出し合うお金】
特別競走(名前の付いたレース)に出るには、馬主が前もって登録料を払います。JRA はこの登録料を全部集め、7対2対1に分けて1着から3着の馬主に渡します。これが「付加賞」です。
2026年の日本ダービーでは、付加賞は1着が2,710万4,000円、2着が774万4,000円、3着が387万2,000円でした。ジャパンカップと有馬記念の登録料は、1回目が6万円、2回目が24万円です。申し込む馬が多いほど付加賞はふくらみます。
(出典:JRA「賞金のしくみ」 https://www.jra.go.jp/owner/members/prize/ 、JRA 日本ダービー2026 レース結果 https://www.jra.go.jp/JRADB/accessS.html?CNAME=pw01sde0105202602121120260531%2F55 、JRA 2026年第5回東京競馬番組 https://www.jra.go.jp/keiba/program/2026/pdf/bangumi/tokyo5.pdf )
【6着以下にも出るお金:奨励金と手当】
6着から9着の馬には「出走奨励金」が出ます。重賞と平地のオープン競走では10着までです。額は1着の本賞金に割合を掛けて決まり、重賞では6着8%、7着7%、8着6%、9着3%、10着2%です。
これとは別に、レースに出た全ての馬に「特別出走手当」が出ます。1回の出走で55万円が基本で、芝1,800m以上のレースなどでは上乗せがあります。1着から大きく離されてゴールした馬などは減らされます。
大阪杯・天皇賞・宝塚記念・ジャパンカップ・有馬記念などのG1で11着以下だった馬には、200万円の「特別出走奨励金」が出ます。ほかに、勝った馬主には賞品も渡され、G1では450万円分です。
2025年に JRA が馬主に払った賞金などは約1,040億円でした。この年に走った馬は1万1,923頭で、1頭あたりにならすと年に約872万円です。成績で大きく変わるので、あくまで平均です。
(出典:JRA「賞金のしくみ」 https://www.jra.go.jp/owner/members/prize/ 、JRA「馬主活動に伴う収入・支出」 https://www.jra.go.jp/owner/howto/income/ 。手当の額は2026年10月20日にページで確かめたもの)
【進上金:馬主から厩舎の人たちへの成功報酬】
賞金はまず馬主に入ります。馬主はそこから、馬を預けている調教師、乗った騎手、世話をする厩務員にお金を払います。これを「進上金」といい、JRA の用語辞典は成功報酬のようなお金と説明しています。
割合は、JRA の公式ページでは確かめられませんでした。公的な資料では、千葉県労働委員会の命令書(1990年)が、JRA の美浦トレーニング・センターについて、馬主が賞金のうち調教師に10%、厩務員に5%を進上金として払っていると認定しています。1980年代の事情を調べたもので、いまも同じ割合かは確かめられませんでした。
騎手の取り分は、報道(マネーポストWEB 2025年9月)で「賞金の5%」と書かれています。この3つの割合を合わせると、馬主の手元に残るのは8割ほどです。ただ、別の記事(同 2023年5月)では調教師と厩舎の分け方の説明が違っていて、割合の細部は資料によってずれます。どの賞金や手当が進上金の対象になるのかも、確かめられませんでした。
仮に1着5億円に「調教師10%・騎手5%・厩務員5%」を当てはめると、調教師に5,000万円、騎手と厩務員に2,500万円ずつ、馬主に4億円となります(くらさんの計算)。
(出典:JRA 競馬用語辞典「進上金」 https://www.jra.go.jp/kouza/yougo/c10200_list.html 、千葉県労働委員会 命令書 平成2年1月16日(厚生労働省 中央労働委員会の命令データベース) https://www.mhlw.go.jp/churoi/meirei_db/mei/pdf/m02396.pdf 、報道:マネーポストWEB 2025年9月8日 https://www.moneypost.jp/1315008/2/ )
【馬主の出費:預託料】
馬主は、馬を調教師の厩舎に預ける費用(預託料)を毎月払います。えさ代や世話・調教の費用です。美浦と栗東のトレーニング・センターでは馬主と調教師の直接の契約で、JRA の案内では1頭1か月70万円程度、額は厩舎ごとに違います。
1年続けると約840万円で、2025年の1頭あたりの平均収入約872万円とほぼ同じです(くらさんの計算)。これに馬を買うお金が加わります。2025年度の1歳馬のせりでは、平均価格が1,477万円、真ん中の価格が616万円でした。
(出典:JRA「馬主活動に伴う収入・支出」 https://www.jra.go.jp/owner/howto/income/ )
【馬主の賞金にかかる税金】
JRA は馬主に賞金を払うとき、所得税と復興特別所得税を先に差し引きます(源泉徴収)。国税庁の手引きでは、1回の賞金から「その20%と60万円の合計」を引き、残りに10.21%を掛けた額です。1着5億円の本賞金だけで計算すると、約4,078万円が差し引かれます(くらさんの計算)。
個人の馬主の賞金は、持っている頭数や出走の回数などで「事業所得」か「雑所得」に分けられます。競走馬は4年で減価償却(買った値段を年ごとに経費に分けること)ができます。
(出典:国税庁「源泉徴収のあらまし」令和8年版 第5 報酬・料金等の源泉徴収事務 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2026/pdf/07.pdf 、JRA「馬主活動に伴う収入・支出」 https://www.jra.go.jp/owner/howto/income/ )