No.18新着 【くらさんの考察】払戻金の税金はなぜ「勝っても損」になりうるのか
外れ馬券を引けない一時所得の計算では、1年の収支がマイナスでも税金がかかることがある。この「ずれ」が話題になった例と、制度をめぐる政府の答え、ほんまかいな予想の記録の付け方への教訓。
本文と出典
【資料にあること】
・払戻金は原則として一時所得で、外れ馬券の代金は引けない(国税庁)。くわしくは「払戻金にかかる税金のしくみ」の記事に書きました。
・お笑いトリオ インスタントジョンソンのじゃいさんは、2022年6月に自身の YouTube で、税務署の調査のあと高額の納税を求められたと報告しました。2020年12月の川崎競馬でトリプル馬単6,410万6,465円を受け取っていたことは、2021年3月に本人が報告していました。本人は理由として「外れ馬券が経費にならない」ことを挙げ、東京国税不服審判所に不服申し立てをしたと明かしています(報道:デイリースポーツ 2022年6月5日・16日 https://www.daily.co.jp/gossip/2022/06/16/0015391228.shtml )。申し立ての結果は確かめられませんでした。
・2020年7月には、独自の予想ソフトでネット購入していたとみられる人が、名古屋国税局から競馬の利益約18億円の所得隠しを指摘されたと報じられました(報道:日本経済新聞・共同 2020年7月21日)。
・2024年の国会の質問に対し、政府は、払戻金を一律に区分する法律を作ることや、源泉徴収の導入、非課税にすることは「考えていない」と答えています(答弁書 令和6年4月26日)。
【くらさんの考察】
一時所得の計算では、外れ馬券の代金が引けません。そのため、たくさん買ってときどき大きく当てる人ほど、実際の収支と税金の計算がずれていくと考えられます。「払戻金にかかる税金のしくみ」の記事の例では、実際は19万円のプラスなのに、税金の計算では49万円の所得になりました。1年の収支がマイナスでも、大きな当たりが1回あれば税金がかかることもありえます。
一方で、外れ馬券も引ける雑所得と認められるには、長い期間ほぼ全てのレースを買い続け、回収率100%を超えていることが「客観的に明らか」でなければなりません。判決を見ると、記録が残っていないことが一時所得とされた理由にもなっています。
【ほんまかいな予想への教訓】
ほんまかいな予想は、買った馬券を1点ずつ成績表に記録しています。税金のためというより検証のための記録ですが、判決が求めた「客観的に明らか」とは、こうした記録のことだと考えられます。軍資金10万円で大きな払戻金を受け取ることは考えにくいものの、当たった場合は、受け取った額と当たり馬券の代金を、年ごとに成績表から出せるようにしておきます。
(この記事は一般的なしくみについての考察です。個々の申告については税務署か税理士にご相談ください。)